今春の高校入試の概況(3)」 (私立・国立編)

一般応募状況

 東京都の「私立高等学校等授業料軽減助成金」における所得制限撤廃の発表から2年目を迎えた今春の入試は、堅調な私立志向を維持する結果となりました。前年度は都立との併願から私立単願へ切り替える動きが主流でしたが、今年度は最初から私立第一志望として手堅く推薦入試や併願優遇を選択する受験生が多かったようです。高大連携の強化や魅力的な制服・校舎といった私立ならではの付加価値も、この全体的な私立志向を強力に後押ししています。長引く円安や物価高による生活防衛意識は依然として高いものの、授業料無償化という大きな利点があることで、安心して私立を選択できると判断する家庭が増加しています。一方で、全日制以外の選択肢である通信制高校・定時制高校への流出も続いており、受験市場の構造変化が伺えます。  

各校の選抜状況

 ① 国立大附属
 国立大附属は、私立無償化の定着による影響を受けつつも、高い知名度やブランド力を持つため、志望層の大きな崩れは見られません。
 筑波大学附属は、長年続いていた男子応募者減少の傾向にブレーキがかかり、数年ぶりに応募者が増加に転じました。一方で女子の応募者数は2023年度入試からずっと減り続けています。お茶の水女子大学附属は、ここ数年の減少傾向から今春は反発し、358人の応募者を確保しました。それに伴い、前年度2.13まで下がった実質倍率も2.55まで上昇しています。
 東京学芸大学附属は、応募者数が2022年度入試から919人→1076人→1176人→1293人と続けて増えており、今春の入試ではさらに増えて1472人となりました。前年度に合格者数を約100人増やしたことで実質倍率が3.08に下がりましたが、今春は3.36に上がって厳しい入試になりました。
 東京科学大学附属科学技術(旧・東工大附属)は、2026年4月に予定されていた大岡山キャンパス(目黒区)への移転・新校舎建設のスケジュールが2027年4月へと1年延期されました。また、推薦入試の出願資格に変更があり、従来の「中学3年間の9教科の評定平均が4.0以上」が「3年次の9教科合計36以上」に変わりました。これらの変化が入試にどのような影響が出るか注目されていましたが、結果としては応募者が496人(前年度475人)で実質倍率1.2倍と、大きな変化は見られませんでした。ただ、大岡山キャンパスへの完全移転を控えた次年度は激戦になるかもしれません。

 ② 私立難関進学校および大学附属校
 開成は、応募者数は微減したものの、今春も実質倍率は3倍前後をしっかりとキープして最難関の厳しさを維持しました。
 5科型入試を導入して6年目となった巣鴨は、前年度に3科型の合格者数を極端に絞り込んで実質倍率が4.6倍台まで跳ね上がったため、今春はその敬遠から3科型の応募者が減少。学校側が狙う「5科型への完全シフト」の動きに受験生側が適応しつつある様子がうかがえます。5科型の方は応募者は減ったものの、合格者数も絞ったため、実質倍率は前年(1.49倍)とほぼ同じの1.50倍と安定しています。
 今春(2026年4月)から、いよいよ日本学園が明治大学の系列校(明治大学付属世田谷)に、順天が北里大学の附属校へと移行しました。この歴史的な改編が実現したことで、両校の今春の入試は前年以上の厳しいものになりました。特に明治大学付属世田谷の一般入試では、応募者数が前年の2倍以上になり、応募倍率は9倍を超えました。最終的には合格者数も増やしたことで実質倍率は3.0倍になりましたが、それでも前年度(1.3倍)より相当厳しい入試になりました。高校の3年間で学力を伸ばして外部の上位大学を目指すという選択肢よりも、併設大学への進学を確実にするという附属・系列校の利点に魅力を感じる受験生は多いようです。

③ 私立進学校
 東洋は、前年度の大幅増(推薦、一般ともに約3割増)に対する警戒感から、今春は出願者数がやや沈静化する形となり、見事な隔年現象を見せています。
 特Sコースの推薦基準を下げて前年の推薦者を増やした駒込、および一般入試の実質倍率が2年連続で3倍前後の激戦となったSDH昭和第一は、いずれも一般入試を避けて、推薦または併願優遇での受験者が増えました。
 岩倉は、前年度の増加から一転して今春は微減。6限制から7限制へのスライド合格が多数出ているようです。2027年度から普通科を4つのコースに大きく改編するようなので、内申基準などの情報を注視していく必要があります。
 関東第一は、前年にコースの名称変更と基準の引き上げがあったものの、応募者数は増加していました。今春も手堅く推薦・一般ともに受験者数を伸ばし、近隣の都立高校の併願校として、地域での強い集客力を維持しています。